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最高裁判所第一小法廷 昭和60年(行ツ)116号 判決 1987年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人伊賀興一、同西川元庸の上告理由第一点について

土地区画整理事業の施行に当たつては、従前地の実測地積を基準として爾後の計画、処分を実施するのが合理的であることはいうまでもないが、土地区画整理事業が緊急を要する場合、施行地区が広範囲である場合等において実測地積を基準とすることは、莫大な費用と労力を必要とし、また、計画の実施を著しく渋滞せしめるから、原則として公簿地積により基準地積を定める方法もやむを得ない措置であつて、特に希望する者に限り、実測地積により得る途が開いてあれば、かかる方法による換地処分も憲法二九条に違反するものではないと解するのが相当であり、このことは当裁判所の判例(昭和二九年(オ)第七五二号同三二年一二月二五日大法廷判決・民集一一巻一四号二四二三頁、同三八年(オ)第一〇〇〇号同四〇年三月二日第三小法廷判決・民集一九巻二号一七七頁、同五三年(行ツ)第一六九号同五五年七月一〇日第一小法廷判決・民集三四巻四号五九六頁)の趣旨に徴して明らかである。原審の確定した事実関係のもとにおいて、右と同旨の見解に基づき本件換地処分が憲法二九条に違反するものではないとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。

同第二点について

本件換地処分が土地区画整理法八九条一項所定の照応の原則に違反するものではないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高島益郎 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 佐藤哲郎)

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